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橋下市長のバカ理論「憲法学者より砂川事件判決の最高裁長官の意見が重要。最高裁長官の意見なのだから」

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 橋下市長が安倍首相、菅官房長官と会談してから、数時間後、ツイッターを連発しました。戦争法案などの劣勢が著しいので、橋下さん、頼むわ、とねじを巻かれたのでしょう。


政界を引退する橋下徹氏は大人しくすっこんでろ!安倍首相は橋下氏より国民の声を聞け!!


 相変わらず、突っ込みどころ満載なんですが、普通の法律家はこういうおかしな人の相手をしているヒマはないでしょうから、わたくしが引き受けることにしました(笑)。


 全部に突っこむのは面倒くさいので、特にひどいツイートに突っこみます。



これ、笑うわあ(爆笑)。


自民党に対峙できる政党!ひいいいww


安倍・菅ペアと会った途端に自民党に協力するツイートをし始めておいて、この鉄面皮ぶりがわたくしのような橋下フリーク、好事家にはたまりません!


ほんとに維新の党こそ日本の国にとってよくないわあ。


 


 


さて、では、肝心の戦争法案について。





さっそく「安保法制」についてなんですが、戦争法案が成立して集団的自衛権行使ができるようになっても、法律の中に、戦争を始めるときの国会議員が前線に行くと書いておけば歯止めになるということらしいです。


そんな法律できるわけないやろ!


こんな条文を入れられるわけがないとわかっているからこそのハッタリです。だいたい、国会議員だけ前線に送るなんていう法の下の平等に反するような法律、作れるわけないやろ!


作れるわけがないのに、自分もまじめに考えてま〜すというアリバイ作りで、これが歯止めだというのだから悪質なことおびただしい。


橋下氏はこの後、維新が民主党と組めない理由としてこんなことをツイートしてるんですが、



はい、皆さんご一緒に。


空理空論の夢物語はお前やろ!


できるもんなら、この法案出した安倍内閣と賛成した国会議員全員まず戦地送りと規定せよ。お、それでも橋下氏は戦地に行かなくていいからよく考えてあるなあ、橋下法案w


 


さて、憲法学者vs内閣総理大臣vs最高裁の話に入ると橋下節全開です!




「内閣における憲法の有権解釈者は内閣総理大臣」。何を言ってるんでしょうかw。


内閣法制局が事実上の憲法の番人になっていたでいいのです。事実上だから。憲法上は裁判所が最終判断します。




出たあ!ここで出ました、今回のハイライト!


最高裁長官の意見なのだからwww


最高裁の中でも最高裁長官の意見がより重要!ww


んなわきゃねえだろ!



それにしても、この橋下と言う人は、最高裁における長官を内閣における内閣総理大臣のようなものだと思っているのでしょうか??


あのな、総理大臣は内閣の大臣の任免権を持っているけど、最高裁長官は最高裁の裁判官の任免権もないし、裁判官としてワンオブゼムよ。同等よ。




安倍首相に大阪都構想を誉められてはしゃぐ橋下市長 お礼に憲法「改正」手伝います!



 


 


さて、そろそろ結論を書いて締めたいと思うのですが。


まず、最初に「国際情勢の中でどのような防衛レベルを採るかは内閣の政治行為だと」は田中補足意見には書いてありません。橋下氏の捏造です。


それにしても確かに、最高裁判決は重みをもっており、違憲判決を出せばあらゆる立法・行政行為が無効とされます。


しかし、そもそも、砂川事件最高裁判決は集団的自衛権の行使については何も言っていないのです。だから、この問題で百万回、最高裁判決は大事と言っても何の意味もありません。


田中補足意見には確かに以下のような部分があります。けれども、もちろん、田中耕太郎判事も集団的自衛権については何も言っていないのです。だって、この事件で問題になっていなかったから。


『一国が侵略に対して自国を守ることは、同時に他国を守ることになり、他国の防衛に協力することは自国を守る所以でもある。換言すれば、今日はもはや厳格な意味での自衛の観念は存在せず、自衛はすなわち「他衛」、他衛はすなわち自衛という関係があるのみである。従って自国の防衛にしろ、他国の防衛への協力にしろ、各国はこれについて義務を負担しているものと認められるのである。』


しかし、砂川事件は、日米安保条約が憲法9条に反するかどうかが問われた事件であり、アメリカに日本の防衛への協力を求めることが「自衛のための措置」として認められるかが争われました。


だから、田中補足意見も、アメリカに安全保障を求めることが日本の自衛として許されるかについて書いているのです。


現に、あとの文章で、田中補足意見はこう言っています。


『本件において問題となっている日米両国間の安全保障条約も、かような立場からしてのみ理解できる。本条約の趣旨は憲法9条の平和主義的精神と相容れないものということはできない。同条の精神は要するに侵略戦争の禁止に存する。それは外部からの侵略の事実によって、わが国の意思とは無関係に当然戦争状態が生じた場合に、止むを得ず防衛の途に出ることおよびそれに備えるために心要有効な方途を講じておくことを禁止したものではない。』


つまり、日米安保条約は侵略戦争に対する日本の「防衛に備えるために心要有効な方途」=個別的自衛権であるから禁止されていないと言っているにすぎません。


アメリカが攻められたときに日本が加勢できるかどうかという集団的自衛権の行使については全く触れていないのです。


だって、この事件と関係ないのだから。


 


 


 


それに、そもそも、橋下弁護士は


「国の統治を行う上においては何百人の憲法学者の意見よりも最高裁長官の意見の方が重い。これが立憲主義だ」


とおっしゃいますが、この砂川事件最高裁判決を出すにあたって、田中耕太郎最高裁長官が何をしたか知っていて言っているのでしょうか?


実は橋下氏が引用している補足意見は、田中耕太郎がアメリカと連絡を取り合って、この最高裁判決を誘導したことが如実に表れた部分です。これってNHKでも大きく報道されたくらい有名な話なんですが、本当に知らないんですかね、橋下弁護士。


砂川事件第一審判決(伊達判決)は日米安保条約と米軍基地が憲法9条に違反していると断言しました。これを破棄して東京地裁に差戻したこの最高裁判決が出たのは1959年12月16日のことです。


そして、この最高裁判決に関するアメリカ政府の公文書が2008年に14通、2012年に2通、2013年に1通と次々に発見されました。


これらの資料で、一審の伊達判決が日本とアメリカ両政府に与えた衝撃、安保改定交渉に与えた影響、跳躍上告に至る経緯、そして田中最高裁長官が自らアメリカへ最高裁内部の情報を提供していたことを明らかになっています。



 


 


例えば、ダグラス・マッカーサー駐日大使(マッカーサー将軍の甥)が本国に送った公電によると、


 「内密の話し合いで、田中耕太郎最高裁長官は、日本の手続きでは審理が始まったあと、判決に至るまでに少なくとも数ヶ月かかると語った」(1959.4.24)


 「共通の友人宅での会話のなかで、田中耕太郎裁判長は、砂川事件の判決はおそらく12月であろうと考えていると語った。
 裁判長は、争点を事実問題ではなく、法的問題に閉じ込める決心を固めていると語った。
 彼の14人の同僚裁判官たちの多くは、それぞれの見解を長々と弁じたがる。
 裁判長は、結審後の評議は実質的な全員一致を生み出し、世論をゆさぶる素になる少数意見を回避するようなやり方で運ばれることを願っていると付言した」(1959.8.3)


 「田中裁判長は、時期はまだ決まっていないが、最高裁が来年の初めまでには判決を出せるようにしたいと語った。
 裁判官のいく人かは、手続き上の観点から事件に接近しているが、他の裁判官たちは法律上の観点からみており、また他の裁判官たちは憲法上の観点から問題を考えていることを田中裁判長は示唆した」(1959.11.5)


などとなっています。







このように、砂川事件最高裁判決は田中耕太郎長官がアメリカの手先になって逐一報告して出来上がった「司法権の独立」もへったくれもない判決であり、橋下氏が金科玉条のように長官だから尊重しろ、尊重しろと言い募る補足意見を書いた田中判事は、アメリカのために自分の意見を書いたのも同然なのです。


橋下市長が引用した田中長官の


今日はもはや厳格な意味での自衛の観念は存在せず、自衛はすなわち「他衛」、他衛はすなわち自衛という関係があるのみである。


という意見は、もはや日本はアメリカに従属しており、日本にとっての厳格な意味での自衛の観念は存在しない、日本はアメリカに従うしかないのだという「白旗」なのです。


こんなアメリカ内通判事の意見を嬉しそうに


国の統治を行う上においては何百人の憲法学者の意見よりも最高裁長官の意見の方が重い。これが立憲主義だ。


と言い切る法律家がどこにいるというのでしょうか。


。。。ここにいた。


 


 















検証・法治国家崩壊 (「戦後再発見」双書3)
吉田 敏浩 (著), 新原 昭治 (著), 末浪 靖司  (著)
創元社

1959年12月16日、在日米軍と憲法九条をめぐって下されたひとつの最高裁判決(「砂川事件最高裁判決」)。アメリカ政府の違法な政治工作のもと出されたこの判決によって、在日米軍は事実上の治外法権を獲得し、日本国憲法もまた、その機能を停止することになった…。大宅賞作家の吉田敏浩が、機密文書を発掘した新原昭治、末浪靖司の全面協力を得て、最高裁大法廷で起きたこの「戦後最大の事件」を徹底検証する!!


 















砂川事件と田中最高裁長官
布川玲子 (著, 編集), 新原昭治 (著, 編集)
日本評論社

60年安保改定交渉の山場に出された砂川事件伊達判決は、米国にとって途方もない脅威だった。極秘だった新資料によって裏舞台を暴く。伊達判決をつぶし60年安保改定を強行した裏舞台の全て。


1959年安保改定交渉大詰め時の米解禁文書群から執念で発掘した極秘文書等22の新資料を網羅、整序する。日米政府にとって駐留米軍を違憲とした伊達判決がいかに脅威であったか、それを葬るためにいかなる作戦が秘密裏に謀られたか、その中で、田中耕太郎最高裁長官が大法廷で覆すことをどんなふうに米国と裏約束したのか…、基地問題、集団的自衛権など、日米同盟の深化に向かう今日の日本の国のかたちを決定づけた時期に司法の果たした役割がいま明らかにされる。






参考記事


水島朝穂早稲田大学教授 直言


砂川事件最高裁判決の「仕掛け人」  2008年5月26日


砂川事件最高裁判決の「超高度の政治性」――どこが「主権回復」なのか 2013年4月15日


しんぶん赤旗


59年の砂川事件・伊達判決 米軍違憲判決後の米の圧力 最高裁にまで手をのばす


 


 


関連記事


砂川事件最高裁判決は集団的自衛権の行使が合憲である根拠にはならない。


砂川事件最高裁判決 高村自民党副総裁の「憲法学者より私の方が考えてきたという自信はある」発言のお笑い


砂川事件最高裁判決から40年後、高村副総裁(当時外相)も集団的自衛権の行使は憲法違反だと認めていた。






一刻も早く政界引退してほしい。


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追記


肝心の安保法制の中身については、細かい法律解釈が苦手な橋下氏だけあって、意味不明なまさに独り言みたいなつぶやきが続きます。



これは何が言いたいんですかねえ。たぶん、72年の政府見解は純然たる集団的自衛権の行使は否定したけど個別的自衛権っぽい集団的自衛権は否定していなくて、単に自衛権の行使って言えば政府見解にも反しないってことなんでしょうか。


「存立危機事態はあくまでも自衛権の範囲と閣議決定すれば良い」とか日本語としてもなり立っていないし、自分でもわかってツイートしてないな、これはたぶん。



機雷掃海が「さらなる個別的自衛権の拡張」??で認められるというのも意味が分かりません。機雷を敷設した相手が日本を攻撃したとみなすということ?ww



低レベル武力ってなんや(爆)。「特別法制」にしても憲法問題は回避できないことに気づかないあんたのおつむが低レベル。



「存立危機事態の定義からすれば自国防衛」って、自国防衛だったら個別的自衛権の問題ですから、これまでの政府見解と矛盾しません。「ただ攻撃の端緒が他国に対して」って、端緒(きっかけ)が他国に対してでも日本が攻撃されたら個別的自衛権の行使で解決できます。


日本が攻撃されていないのに、アメリカを攻撃した相手国を日本が攻撃できるかというのが集団的自衛権行使の場面で、たとえ存立危機状態などの新3要件があろうとも、日本が攻撃されていないのであれば個別的自衛権の問題ではなく集団的自衛権の問題であり、それは違憲だというのがこれまでの政府見解なのです。


「新3要件を定めた閣議決定から集団的自衛権という言葉を外せばいい」ってそんな小手先のことで解決するか!


 


 




2013年4月8日 NHK 「司法権の独立揺るがす」資料見つか







2013年4月8日(月) NHK





井上
「日米の間であり方が議論されている、在日アメリカ軍基地。
この在日アメリカ軍は憲法違反、という判決が半世紀以上前に言い渡されたことがあるのをご存じでしょうか。
しかしこの判決は、わずか9か月後、最高裁判所によって取り消されます。」


大越
「今回、新たに公開されたアメリカ政府の文書から、当時、日本の司法トップである最高裁長官がアメリカ側とひそかに会い、判決の取り消しを示唆していたことが分かりました。」






覆された 在日米軍違憲判決




元裁判官の松本一郎さん、82歳。
今から54年前、ほかの2人の裁判官とともに在日アメリカ軍を違憲とする判決を書きました。



元裁判官 松本一郎さん
「私はやはり、日本は日本であるべきだと。
(判決当日は)やるべきことをやったと、割と淡々としていた。」





ことの発端は、東京の旧砂川町(すながわまち)で起きた、アメリカ軍基地の拡張計画に対する地元住民らの反対運動。
基地に無断で立ち入ったとして学生ら7人が起訴された、「砂川事件」です。
1審の判決は、被告全員を無罪。
在日アメリカ軍の存在は、戦力の保持を禁じた憲法9条に違反しており、罪には問えないという判断でした。
しかし9か月後、最高裁大法廷はこの判決を取り消します。
この背景には、アメリカ軍を駐留させたい、日米双方の意向があった可能性が明らかになりました。


核心:揺らいだ司法の独立






覆された“米軍違憲” 揺らいだ司法の独立





今回、アメリカの公文書館が開示した文書。
最高裁判決の4か月前、駐日アメリカ大使館が、国務長官宛てに送った秘密の書簡です。
記されていたのは「タナカ」という名前。




最高裁大法廷の裁判長をつとめた、田中耕太郎長官でした。
最高裁で審理が始まるひと月前。
田中長官は、アメリカ大使館のレンハート首席公使と秘密の会談を持っていたのです。


“砂川事件の判決は、12月になるだろう。”


公にされていない、最高裁の判決の時期を漏らしていました。


元裁判官 松本一郎さん
「裁判官というのは、なった時から、なる前から事件については一切、家の者にも話さないというのは伝統。
田中長官は明らかにそれを無視している。」


田中長官から、事前に判決の時期を聞いていたアメリカ。
レンハート首席公使と親交が深かった春名幹男(はるな・みきお)さんです。
密会は、翌年に控えた日米安全保障条約の改定と密接な関係があったといいます。



早稲田大学 春名幹男客員教授
「やはり安保条約の改定に向けて、大詰めの段階を迎えていた。
米軍の駐留が憲法を犯すといった判決をどうしても覆さないと、という米側の強い意志が反映された。」



こうした強い危機感の裏には、アメリカが進めるアジア戦略があったと指摘します。


早稲田大学 春名幹男客員教授
「東アジアにおいても共産主義の嵐が強まってきたという段階で、日米同盟という形で日本を反共の砦(とりで)にしていくという意志があったと思う。」


さらに文書によると、田中長官はこうも語っています。


“裁判官全員一致に意見をまとめ、日本の世論を不安定にさせる少数意見は、避けるのが望ましい。”


安保条約の反対勢力を勢いづかせないよう、15人の裁判官全員一致での1審判決の取り消しを示唆していました。
文書に記されていたとおり、この年の12月、最高裁大法廷は全員一致で1審を取り消しました。



最高裁 田中耕太郎長官(当時)
「15人の全裁判官が、結論なり理由の極めて重要な点について根本的に一致したのは、喜ばしいことだと思う。」





判決の翌日、大使館からアメリカ本土へ電報が打たれていました。


“この裁判における裁判長の功績は、日本国憲法の発展のみならず、日本国を世界の自由陣営に組み込むことにとっても、金字塔を打ち立てるものである。”


この判決で最高裁は、「わが国の存立にかかわる高度な政治性を有する問題は、司法審査の対象にはならない」と判断しました。
松本さんは、この判断がその後の司法の消極的な姿勢を決定づけたといいます。


元裁判官 松本一郎さん
「(在日米軍や自衛隊などの)アンタッチャブルなものには裁判所は触れないんだという態度がはっきり出て、その後もそれが続いている気がしないでもない。
その意味では、大変な先例だったという気がする。」


大越
「この時の最高裁の判決によって、アメリカ軍基地の存在の是非は、司法からは遠い、政治の判断に委ねられるテーマとなったとも言われています。
しかし明らかになった資料のとおり、この最高裁の判決が、司法の独立とはほど遠い、政治的な判断によって行われていたとしたら、昭和戦後史の重要な断面に、さらなるメスを入れていく必要がありそうです。」


 




 


砂川事件最高裁判決 


(田中最高裁長官の補足意見)


裁判官田中耕太郎の補足意見は次のとおりである。


私は本判決の主文および理由をともに支持するものであるが、理由を次の2点について補足したい。
1.本判決理由が問題としていない点について述べる。元来本件の法律問題はきわめて単純かつ明瞭である。事案は刑事特別法によって立入を禁止されている施設内に、被告人等が正当の理由なく立ち入ったということだけである。原審裁判所は本件事実に対して単に同法2条を適用するだけで十分であった。しかるに原判決は同法2条を日米安全保障条約によるアメリカ合衆国軍隊の駐留の合憲性の問題と関連せしめ、駐留を憲法9条2項に違反するものとし、刑事特別法2条を違憲と判断した。かくして原判決は本件の解決に不必要な問題にまで遡り、論議を無用に紛糾せしめるにいたった。
 私は、かりに駐留が違憲であったにしても、刑事特別法2条自体がそれにかかわりなく存在の意義を有し、有効であると考える。つまり駐留が合憲か違憲かについて争いがあるにしても、そしてそれが違憲であるとしても、とにかく駐留という事実が現に存在する以上は、その事実を尊重し、これに適当な保護の途を講ずることは、立法政策上十分是認できるところである。
 およそある事実が存在する場合に、その事実が違法なものであっても、一応その事実を承認する前提に立って法関係を局部的に処理する法技術的な原則が存在することは、法学上十分肯定し得るところである。違法な事実を将来に向って排除することは別問題として、既定事実を尊重し法的安定性を保つのが法の建前である。それによって、ある事実の違法性の影響が無限に波及することから生ずる不当な結果や法秩序の混乱を回避することができるのである。かような場合は多々存するが、その最も簡単な事例として、たとえ不法に入国した外国人であっても、国内に在留するかぎり、その者の生命、自由、財産等は保障されなければならないことを挙げることができる。いわんや本件駐留が違憲不法なものでないにおいておや。
 本件において、もし駐留軍隊が国内に現存するという既定事実を考慮に入れるならば、国際慣行や国際礼譲を援用するまでもなく、この事実に立脚する刑事特別法2条には十分な合理的理由が存在する。原判決のふれているところの、軽犯罪法1条32号や住居侵入罪との法定刑の権衡のごとき、結局立法政策上の問題に帰着する。
 要するに、日米安全保障条約にもとづくアメリカ合衆国軍隊の駐留の合憲性の問題は、本来かような事件の解決の前提問題として判断すべき性質のものではない。この問題と、刑事特別法2条の効力との間には全く関連がない。原判決がそこに関連があるかのように考えて、駐留を違憲とし、従って同法2条を違憲無効なものと判断したことは失当であり、原判決はこの一点だけで以て破棄を免れない。


2.原判決は1に指摘したような誤った論理的過程に従って、アメリカ合衆国軍隊の駐留の合憲性に関連して、憲法9条、自衛、日米安全保障条約、平和主義等の諸重要問題に立ち入った。それ故これらの点に関して本判決理由が当裁判所の見解を示したのは、けだし止むを得ない次第である。私は本判決理由をわが憲法の国際協調主義の観点から若干補足する意味において、以下自分の見解を述べることとする。
 およそ国家がその存立のために自衛権をもっていることは、一般に承認されているところである。自衛は国家の最も本源的な任務と機能の一つである。しからば自衛の目的を効果的に達成するために、如何なる方策を講ずべきであろうか。その方策として国家は自国の防衛力の充実を期する以外に、例えば国際連合のような国際的組織体による安全保障、さらに友好諸国との安全保障のための条約の締結等が考え得られる。そして防衛力の規模および充実の程度やいかなる方策を選ぶべきかの判断は、これ一つにその時々の世界情勢その他の事情を考慮に入れた、政府の裁量にかかる純然たる政治的性質の問題である。法的に認め得ることは、国家が国民に対する義務として自衛のために何等かの必要適切な措置を講じ得、かつ講じなければならないという大原則だけである。
 さらに一国の自衛は国際社会における道義的義務でもある。今や諸国民の間の相互連帯の関係は、一国民の危急存亡が必然的に他の諸国民のそれに直接に影響を及ぼす程度に拡大深化されている。従って一国の自衛も個別的にすなわちその国のみの立場から考察すべきでない。一国が侵略に対して自国を守ることは、同時に他国を守ることになり、他国の防衛に協力することは自国を守る所以でもある。換言すれば、今日はもはや厳格な意味での自衛の観念は存在せず、自衛はすなわち「他衛」、他衛はすなわち自衛という関係があるのみである。従って自国の防衛にしろ、他国の防衛への協力にしろ、各国はこれについて義務を負担しているものと認められるのである。
 およそ国内的問題として、各人が急迫不正の侵害に対し自他の権利を防衛することは、いわゆる「権利のための戦い」であり正義の要請といい得られる。これは法秩序全体を守ることを意味する。このことは国際関係においても同様である。防衛の義務はとくに条約をまって生ずるものではなく、また履行を強制し得る性質のものでもない。しかしこれは諸国民の間に存在する相互依存、連帯関係の基礎である自然的、世界的な道徳秩序すなわち国際協同体の理念から生ずるものである。このことは憲法前文の国際協調主義の精神からも認め得られる。そして政府がこの精神に副うような措置を講ずることも、政府がその責任を以てする政治的な裁量行為の範囲に属するのである。
 本件において問題となっている日米両国間の安全保障条約も、かような立場からしてのみ理解できる。本条約の趣旨は憲法9条の平和主義的精神と相容れないものということはできない。同条の精神は要するに侵略戦争の禁止に存する。それは外部からの侵略の事実によって、わが国の意思とは無関係に当然戦争状態が生じた場合に、止むを得ず防衛の途に出ることおよびそれに備えるために心要有効な方途を講じておくことを禁止したものではない。
 いわゆる正当原因による戦争、一国の死活にかかわる、その生命権をおびやかされる場合の正当防衛の性質を有する戦争の合法性は、古来一般的に承認されているところである。そして日米安全保障条約の締結の意図が、「力の空白状態」によってわが国に対する侵略を誘発しないための日本の防衛の必要および、世界全体の平和と不可分である極東の平和と安全の維持の必要に出たものである以上、この条約の結果としてアメリカ合衆国軍隊が国内に駐留しても、同条の規定に反するものとはいえない。従ってその「駐留」が同条2項の戦力の「保持」の概念にふくまれるかどうかはーー我々はふくまれないと解するーーむしろ本質に関係のない事柄に属するのである。もし原判決の論理を是認するならば、アメリカ合衆国軍隊がわが国内に駐留しないで国外に待機している場合でも、戦力の「保持」となり、これを認めるような条約を同様に違憲であるといわざるを得なくなるであろう。

 我々は、その解釈について争いが存する憲法9条2項をふくめて、同条全体を、一方前文に宣明されたところの、恒久平和と国際協調の理念からして、他方国際社会の現状ならびに将来の動向を洞察して解釈しなければならない。字句に拘泥しないところの、すなわち立法者が当初持っていた心理的意思でなく、その合理的意思にもとづくところの目的論的解釈方法は、あらゆる法の解釈に共通な原理として一般的に認められているところである。そしてこのことはとくに憲法の解釈に関して強調されなければならない。
 憲法9条の平和主義の精神は、憲法前文の理念と相まって不動である。それは侵略戦争と国際紛争解決のための武力行使を永久に放棄する。しかしこれによってわが国が平和と安全のための国際協同体に対する義務を当然免除されたものと誤解してはならない。我々として、憲法前文に反省的に述べられているところの、自国本位の立場を去って普遍的な政治道徳に従う立場をとらないかぎり、すなわち国際的次元に立脚して考えないかぎり、憲法9条を矛盾なく正しく解釈することはできないのである。
 かような観点に立てば、国家の保有する自衛に必要な力は、その形式的な法的ステータスは格別として、実質的には、自国の防衛とともに、諸国家を包容する国際協同体内の平和と安全の維持の手段たる性格を獲得するにいたる。現在の過渡期において、なお侵略の脅威が全然解消したと認めず、国際協同体内の平和と安全の維持について協同体自体の力のみに依存できないと認める見解があるにしても、これを全然否定することはできない。そうとすれば従来の「力の均衡」を全面的に清算することは現状の下ではできない。しかし将来においてもし平和の確実性が増大するならば、それに従って、力の均衡の必要は漸減し、軍備縮少が漸進的に実現されて行くであろう。しかるときに現在の過渡期において平和を愛好する各国が自衛のために保有しまた利用する力は、国際的性格のものに徐々に変質してくるのである。かような性格をもつている力は、憲法9条2項の禁止しているところの戦力とその性質を同じうするものではない。
 要するに我々は、憲法の平和主義を、単なる一国家だけの観点からでなく、それを超える立場すなわち世界法的次元に立って、民主的な平和愛好諸国の法的確信に合致するように解釈しなければならない。自国の防衛を全然考慮しない態度はもちろん、これだけを考えて他の国々の防衛に熱意と関心とをもたない態度も、憲法前文にいわゆる「自国のことのみに専念」する国家的利己主義であって、真の平和主義に忠実なものとはいえない。
 我々は「国際平和を誠実に希求」するが、その平和は「正義と秩序を基調」とするものでなければならぬこと憲法9条が冒頭に宣明するごとくである。平和は正義と秩序の実現すなわち「法の支配」と不可分である。真の自衛のための努力は正義の要請であるとともに、国際平和に対する義務として各国民に課せられているのである。
 以上の理由からして、私は本判決理由が、アメリカ合衆国軍隊の駐留を憲法9条2項前段に違反し許すべからざるものと判断した原判決を、同条項および憲法前文の解釈を誤ったものと認めたことは正当であると考える。


 


 


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