「一票の格差」が最大4・77倍だった昨年7月の参院選について、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は26日、「憲法違反の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあった」と判断した。「違憲」の一歩手前となる「違憲状態」と認定した。選挙の無効(やり直し)の請求は退けた。


特集「迫られる一票の格差是正」
 衆参両院の選挙がそれぞれ2回連続で「違憲状態」と判断された。この日の判決は参院選の選挙区の仕組みについて「都道府県を単位として定数を設定する現行制度を、できるだけ速やかに見直すべきだ」と注文を付けた。「2016年参院選まで」を事実上の是正の期限とした。国会は、両院の選挙制度を迅速に是正することを求められた。


 昨年の参院選で、定数(当選する議員の数)1人あたりの有権者数を計算すると、最も多い北海道は、少ない鳥取県の4・77倍だった。北海道選挙区の一票の価値は、鳥取選挙区の一票と比べると、0・21票分しかないことになる。二つの弁護士グループが「選挙区によって投票価値が異なるのは憲法違反だ」と訴えた。


 参院選をめぐっては、最高裁が10年の選挙についても「違憲状態」と判断している。国会はこの判決(12年10月)の後、「4増4減」の定数是正を実施。ただ、都道府県単位の選挙区は残したまま、昨年の選挙を実施した。


 こうした状況について、判決は「現行の仕組みを維持しながら投票価値の平等を実現することは、著しく困難」と指摘。そのうえで昨年の参院選も「違憲状態」で行われた、とした。


 最高裁は「著しい不平等」が生じている状態を「違憲状態」と定義。それが「相当期間続いているのに是正されない」ときに「違憲」と判断するとしている。「違憲状態」は合憲に含まれる。


 判決は、昨年の参院選時点で「是正のための期間」が過ぎていたかどうかも検討。前回の最高裁判決から選挙までに約9カ月しかなかったことなどを考慮し、「(国会が)具体的な改正案をつくり、法改正を行うには難しかった」として「違憲」とすることは避けた。


 裁判官15人のうち、11人の多数意見。4人が「違憲」と判断した。このうち元内閣法制局長官の山本庸幸裁判官は、格差の大きい一部の選挙区について「無効」とする厳しい反対意見を述べた。


■最高裁判決の骨子


・昨年の参院選当時、最大4.77倍の格差があった投票価値の不均衡は、違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあった。


・ただし、選挙までに議員定数配分規定の改正がされなかったことが、国会の裁量権の限界を超えるとは言えず、違憲とは言えない。


・違憲の問題が生ずる不平等状態を解消するために、一部の選挙区の定数を増減するだけでなく、都道府県単位の選挙区を改めるなど、現行の仕組み自体を見直す立法措置が必要だ。