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シベリア抑留記録を世界記憶遺産に登録させた日本が、南京事件については抗議するのが恥ずかしい。

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 自分が被害者的な立場の事件については言い募るのに、自分が加害者だった事件については被害者の申請に文句を言うという態度が、わたくしの美学に超合いません。


 2015年10月9日、ユネスコの「世界記憶遺産」に、日本が申請していたシベリア抑留に関する資料などの登録が決まりました。


 登録が決まったのは、第二次世界大戦後にシベリアに抑留された日本人捕虜の日記や手紙、引き揚げ船名簿などの資料、570点です(京都の東寺に伝えられた国宝「東寺百合文書」の登録も決まりました)。



 


 


 ところが、中国からの「南京大虐殺」に関する資料の登録も決まったため、日本政府は


「中国の一方的な主張に基づき申請されたもの」


「中立・公平であるべき国際機関として問題」


「極めて遺憾」


との外務報道官談話を発表しました。



 


 ところで、シベリア抑留問題とは何かご存知でしょうか。


 これは、第二次世界大戦の終結の時期に、中国東北部にいた約60万人以上の日本軍兵士や民間人がソ連の捕虜として連行され、シベリアでの強制労働に従事させられた問題です。


 強制連行は、1945年8月にスターリンが拘留指令を出したためであり、この結果、抑留者の帰国が終わる56年までの間に、6万人以上が厳寒の地で命を落としました。


 この旧ソ連の行為は、捕虜のすみやかな送還を明記したハーグ陸戦規則にも、武装を解除した日本軍兵士が「各自の家庭に復帰」することを定めたポツダム宣言にも反するものです。


 このように国際法を乱暴に踏みにじったソ連側に、シベリア抑留の悲劇を生んだ最大の責任があることは明白で、1993年にエリツィン露大統領が来日した際に謝罪しています。


 


 


 そもそも、終戦当時には二百数十万人もの日本人が中国東北部にいたのですが、これは日本が中国を侵略し、満州国をでっち上げていたからです。


 そして、日本政府は、「ソ連」への請求権は1956年の日ソ共同宣言で相互放棄されたとしています。


 これは、戦後補償問題で中国や朝鮮の人々の請求権について、日中・日韓の条約で放棄されたとしているのと同じ問題です。


 しかし、シベリア抑留者の個人賠償請求権まで、法的には他人である国が放棄できるものではありません。


 ですから、シベリア抑留者は第一次的には旧ソ連を引き継いだロシアに賠償を請求できるはずですし、それを認めないのであれば、抑留者は日本軍に徴兵・徴用され、日本が開始した戦争のせいで抑留されたのですから、強制労働に対する未払賃金は日本政府の責任で補償が行われるべきです。


 


 


 この問題は1979年に、全国抑留者補償協会(全抑協)が設立され、抑留者への未払賃金を払えなどの運動が始まるなかで、政府は1988年、「平和記念事業特別基金等に関する法律」を制定し、この「基金」で、抑留者に10万円の慰労金(国債)、銀杯を贈呈、これで決着済みとしました。


 しかし、死に直面し苦労を重ねてきたシベリア抑留者に対して、わずか10万円支給しただけで、戦後処理は終わったなどというような態度をとり続けることは到底認められるはずがありません。


 この戦争責任、戦後補償の問題に口を閉ざしたまま、シベリア抑留の記録を世界記憶遺産にしてくれなどと、日本政府はよく申請できたものだと私は呆れています。 


 それにしても世界記憶遺産になったのを機会に、我々がもう一度シベリア抑留者の方々の問題と、日本の侵略責任や戦後補償の問題を考えるきっかけにしたいものです。


 


1956年、10年の抑留生活に生き残り、やっと日本に帰還する元日本兵捕虜たち。


 


 


 ひるがえって、日本の申請と同時に中国が申請した「南京大虐殺」の資料もまたユネスコの世界記憶遺産に登録されたことについて、安倍政権が中国ばかりか、ユネスコに対してさえ激しく抗議していることは恥ずかしいことです。


 世界記憶遺産を審査する委員会に歴史学者がいない、などと読売新聞が批判したりしているのですが、シベリア抑留の記録を記憶遺産にしたのも同じ委員たちだってば。ブーメランが返ってきすぎでしょう。


 そもそも、記憶遺産の審査基準は資料保全の必要性だけが検討対象で、歴史的に正しいかどうかは判断材料になりません。








 また、国際条約に基づいた世界文化遺産とは異なり、記憶遺産はユネスコの一事業のため、加盟各国は認定の是非に関与もできないのです。


 日本も申請したのですからそんなことは百も承知なのに、ユネスコへの分担金・拠出金を見直すなどとまで言い出して脅している姿は、クレーマーを通り越してまるでヤクザのようで、国際社会の笑い物です。




15年戦争資料 @wiki より史料発掘:南京虐殺の現場と写真から






 被害者の人数に学説の争いはあれど、日本軍が南京入城の際に市民を数万人以上は虐殺したことに争いはありません。


 南京事件がなかった、虐殺はなかったという立場は、さすがに日本でも普通の歴史学者は取りません。


 ですから、実際の虐殺された被害者の人数や実態については、世界記憶遺産の問題とは別に歴史学者らの論争に委ねればいいのです。



同上






 それを、南京事件の記録がユネスコの世界記憶遺産になったこと自体に抗議するのは、ロシア政府がシベリア抑留の記録が記憶遺産になったのに文句を言いだして、


「記録にあるより捕虜の人数も死者の人数ももっと少なかった」


「それに、記録にあるほど手荒いことはしていない」


「いやいや、日本人捕虜に対するシベリア抑留はなかった」


「もうユネスコに金は払わん」


などと言い募るようなものです。


 このように、安倍政権がユネスコや中国に抗議すればするほど、日本が歴史をねつ造する歴史修正主義であると世界に喧伝することになるわけで、こんな政府を持って本当に恥ずかしいとしか言いようがありません。


 


参考


国際法から見た日本人捕虜のシベリア抑留  東海大学平和国際戦略研究所 白井久也教授


 


 


安倍首相は日本が侵略戦争をしたと言いたがらず「侵略の定義は歴史学者に任せたい」、と都合の悪いところは歴史学者任せなのですが。


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シベリア抑留―未完の悲劇 (岩波新書)
栗原俊雄 著
岩波書店

敗戦直後、旧満州の日本人兵士ら約六〇万人がソ連軍に連行され、長期間の収容所生活を送った「シベリア抑留」。極寒・飢餓・重労働の中で約六万人が死亡したこの悲劇は、今も完結していない。衝撃的な史料の発見、日本政府への補償要求と責任追及…。過酷な無賃労働を強いられた帰還者らは、「奴隷のままでは死ねない」と訴える。


 















NHKスペシャル 引き裂かれた歳月 〜証言記録 シベリア抑留〜 [DVD]
 
NHKエンタープライズ

太平洋戦争終結後、57万人以上の日本人が過酷な強制労働を強いられた「シベリア抑留」。
ソ連の徹底した思想教育のもとで、抑留者はどんな決断を強いられ、どのように生きたのか?


 















「百人斬り競争」と南京事件―史実の解明から歴史対話へ
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「百人斬り競争」を“賞賛”した時代があった。軍人はなぜ日本刀を携行したのか。「百人斬り」は可能か。「百人斬り競争」は創作記事か。文献史料を徹底的に検証し、歴史学の立場から「論争」に終止符を打つ。

















南京の日本軍―南京大虐殺とその背景
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大月書店

南京大虐殺から60年、日本国内では未だにこの事件の規模や内容、存在までをも疑う人が少なくない。本書は事実そのものを検証し、なぜその事実が起こったのかを解明する。事実を知りたい人に最適の一冊。


 




 

クローズアップ2015:記憶遺産に「南京大虐殺」 「東京裁判」引用際立つ


 2015年10月11日 毎日新聞


 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産に、中国が申請した「南京大虐殺」が新たに加わった。記憶遺産には奴隷制度や戦争など負の歴史を刻むものも多い。だが、南京大虐殺は犠牲者規模などを巡り中国と日本の見解が異なるため、日本政府は「ユネスコの政治利用」と中国政府に抗議し、歴史認識を巡る日中両政府の摩擦が表面化した。ユネスコの「お墨付き」を得て中国は新たな歴史カードを手にしたのか。登録された関連資料などから影響を読み解く。



 ◇中国、客観性を強調


 <極東国際軍事裁判(東京裁判)は、以下のように指摘した。「日本兵は南京市各地でさまざまな残虐行為に及んだ」「最初の6週間に南京及び近郊で殺害された民間人と捕虜は20万人以上」−−>


 中国がユネスコに提出した申請書の記述で目立つのは、東京裁判への言及だ。申請書類の冒頭にある趣旨説明の半分近くが、東京裁判からの引用になっており、A4判11ページの申請書類の中に「東京裁判」の文字が8回登場。国連の母体となった第二次大戦の戦勝国が軍事法廷で虐殺を認定した点を強調して、中国だけの主張ではないことを示した。当時南京にいた欧米人の目撃証言にも繰り返し触れて「客観性」を強調し、政治利用の色をぬぐい去る意図がうかがえる。


 記憶遺産に登録された関係文書11件=表=は、生存者の日記や写真フィルム、軍事法廷の判決など。中国側はいずれも「(旧日本軍が)南京で行った虐殺、性的暴行、放火、略奪を含む犯罪行為を正確に記録している」と主張する。


 「南京」を巡っては、虐殺の規模など日中間で現在も激しい論争が続く。中国側は犠牲者を「30万人以上」と主張しており、南京大虐殺記念館(南京市)では「300000」と犠牲者数を刻んだ巨大レリーフが来館者を迎える。


 一方、日本外務省は公式サイトの「歴史問題Q&A」で「非戦闘員の殺害や略奪行為などがあったことは否定できないが、被害者の具体的な人数は諸説あり、正しい数を認定することは困難」との公式見解を示す。日本の研究者による推計も20万人から数万人で、中国側と大きな隔たりがある。


 記憶遺産の申請書では、犠牲者数について、戦後の東京裁判の「20万人以上」、南京軍事法廷の「少なくとも30万人」とする判断を両論併記して自説の根拠とした。ユネスコの記憶遺産に登録されるためには資料が歴史的に重要であるだけでなく、資料やその説明の「真正性」も求められる。


 資料の登録によって、ユネスコが中国側の主張を認めた印象を与えるのは避けられない。しかし、資料全体の信頼性を判断する作業と、個々の記載内容を幅広い角度で検証して歴史的事実を結論付けることは意味合いが異なる。ユネスコは近く登録理由を公表する見通しだが、「30万人」とする中国側の説明に言及するかどうかも注目されそうだ。


 登録された文書の一部を保管する南京大虐殺記念館の朱成山館長は10日に配信された新華社通信のインタビュー記事で「南京大虐殺の歴史が世界の共通認識になったことを意味する」と説明。申請活動は2009年から本格化し、翌10年から国の後押しを受けたという。


 日中関係が尖閣諸島問題などを巡って悪化した時期と重なり、政治的な思惑もうかがえる。【河津啓介】


 ◇対日強硬姿勢、国内アピール


 「2013年12月の安倍晋三首相の靖国参拝がきっかけだった」と中国政府高官は打ち明けた。習近平指導部は歴史問題で日本に直接働きかけるだけでなく、ユネスコなどの国連機関を巻き込みながら対日圧力を強めている。


 「我々は戦争を人類から遠ざけ、世界の子供たちを平和の下で幸せに成長させなければならない」。安倍首相の靖国参拝から約3カ月後の昨年3月、習主席はパリのユネスコ本部を訪れ、こう演説した。


 09年から進めていた南京大虐殺の記憶遺産申請に最終的にゴーサインを出したのはこの頃だった。習氏自ら戦争廃絶を訴えることで「南京」「慰安婦」の遺産登録を働きかけたのだろう。


 中国の指導者にとって対日関係での失策は大きなリスクだ。なかでも日本首相の靖国参拝を許すことは最大級の失策と言える。当時の習氏は中国共産党トップの総書記に就任して1年余り。権力基盤がまだ盤石ではなかったとされる。


 この時期は1990年代を中心に歴史問題で日本に厳しい姿勢を示し続けた江沢民氏の影響も強く残り、対日問題で強い姿勢を示さなければ政権基盤が揺らぐ可能性も残っていた。「南京大虐殺」の記憶遺産申請は習指導部にとって対日強硬姿勢を国内向けにアピールするためにも格好のカードだった。


 習指導部が対日関係改善に動くのは、昨年夏以降だ。


 転機は、江氏に近かった周永康前政治局常務委員を14年12月に逮捕し、反腐敗キャンペーンの山場を乗り切って権力基盤を一層安定させたころといわれる。「中国は日本の政権と民間を切り離し、民間との協力強化を模索し始めた」(北京の外交関係者)


 しかし、今年は「抗日戦争勝利70年」の節目でもあり、歴史問題では依然として日本に妥協できない事情がある。


 習主席は9月3日の軍事パレード後のレセプションで「あの年代の人であろうと、その後生まれた人であろうと、歴史の教訓を心に刻まなければならない」と発言し、安倍談話を暗に批判するなど硬軟両様の構えを見せる。


 今回登録されなかった慰安婦問題に関する資料は台湾や韓国、北朝鮮、インドネシアなどの各国と連携しやすい問題でもある。習指導部は今後、安倍政権をけん制する材料として「歴史問題の国際包囲網」を利用し続けるとみられる。【北京・工藤哲】


 ◇歴史認識、対立再燃も


 中国政府やユネスコに働きかけてきた日本政府は落胆を隠せない。「日中関係に大きな影響を与えるものではない」(政府関係者)と冷静に受け止める向きもあるが、日本国内で中国への反発が広がれば、安倍晋三首相の戦後70年談話で沈静化したかに見えた日中間の歴史認識問題が再燃しかねない。


 「今回の登録で『南京大虐殺はでっちあげだ』という極論が国内に広がるのはまずい」。自民党の三役経験者は10日、こう指摘し、対中感情の悪化に警戒感を示した。


 中国外務省が申請を発表した昨年6月以降、政府は大使館を通じて再三、中国側に抗議。提出資料の開示や日本の専門家による調査を求めてきた。ユネスコに対しても首相や岸田文雄外相が慎重審査を要請したほか、国際諮問委員会の専門家14人に政府関係者が個別に接触し、懸念を伝えた。


 しかし、諮問委には各国の公文書館長など文書管理の専門家が多く、「政府の働きかけに不快感もあった」(外務省幹部)といい、登録回避の有効な手立てはなかったのが実情だ。


 外務省は中国に抗議したが、同省幹部は「感情的に反応したり、対立をエスカレートさせたりすべきではない」と強調しており、日本政府としては改善に向かい始めていた日中関係を維持したい意向だ。


 首相は10月末にも開催予定の日中韓首脳会談の際、中国の李克強首相と個別に会談したい考えだ。9日には、訪中する公明党の山口那津男代表に習近平国家主席への親書を託している。


 ただ、国内の反発を背景に記憶遺産問題で日中間の対立が激化すれば、首脳会談で「歴史認識」というトゲが再びクローズアップされるのは必至だ。【高本耕太】


 ◇審議、勧告内容も非公開


 世界記憶遺産の審査は2年に1回で、申請は各国2件まで。14人の専門家によるユネスコ国際諮問委員会が登録の可否を審査。同委の勧告を尊重してユネスコ事務局長が最終決定する。


 同じユネスコの遺産事業である世界遺産と無形文化遺産は、登録の審議が公開されるが、記憶遺産は審議も勧告内容も非公開であり、透明性の向上を求める声も上がっている。【三木陽介】


==============


 ◇世界記憶遺産に登録された「南京大虐殺に関する資料」


<1>国際安全区の金陵女子文理学院の宿舎管理員、程瑞芳の日記


<2>米国人のジョン・マギー牧師の16ミリ撮影機とそのオリジナルフィルム


<3>南京市民の羅瑾が死の危険を冒して保存した、旧日本軍撮影の民間人虐殺や女性へのいたずら、強姦(ごうかん)の写真16枚


<4>中国人、呉旋が南京臨時(政府)参議院宛てに送った旧日本軍の暴行写真


<5>南京軍事法廷が日本軍の戦犯・谷寿夫に下した判決文の正本


<6>南京軍事法廷での米国人、ベイツの証言


<7>南京大虐殺の生存者、陸李秀英の証言


<8>南京市臨時(政府)参議院の南京大虐殺案件における敵の犯罪行為調査委員会の調査表


<9>南京軍事法廷が調査した犯罪の証拠


<10>南京大虐殺の案件に対する市民の上申書


<11>外国人日記「南京占領−目撃者の記述」(新華社通信から)


==============


 ◇日中関係を巡る近年の主な動き


2012年


  11月 中国で習近平氏が共産党総書記に就任


  12月 第2次安倍内閣が発足


  13年


   3月 中国全人代で習体制が正式に発足


   9月 安倍首相と習主席がロシアで初接触


  11月 中国が東シナ海上空に防空識別圏を設定


  12月 安倍首相が靖国神社を参拝<1>。直後から中国が国際的に対日けん制を強化


  14年


   3月 中国が南京大虐殺と慰安婦問題の資料をユネスコ世界記憶遺産に登録申請


   3月 中国の習主席がパリのユネスコ本部を訪問


   7月 福田康夫元首相が習主席と非公式に会談


  11月 日中首脳が北京で会談


  12月 中国で周永康氏の逮捕を決定<2>


  15年


   4月 日中首脳がジャカルタで会談


   5月 二階俊博自民党総務会長ら3000人規模の訪中団が習主席と面会


   8月 安倍首相談話を閣議決定


   9月 北京で抗日戦争勝利70年記念式典を実施<3>


   9月 日本で安保関連法成立


 


 


南京大虐殺世界遺産に安倍ヒステリー



恥ずかしすぎる! 安倍政権が世界遺産否定のために「南京大虐殺はなかった」のトンデモ言説を世界に発信


【この記事のキーワード】

2015.10.11 リテラ

 

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安倍政権は、国際社会にまで恥をさらす気なのか……(YouTube「ANNnewsCH」より)



 旧日本軍による「南京大虐殺」に関する資料が、ユネスコの世界記憶遺産に登録されたことに、日本政府が猛反発している。


 もともと、昨年、中国側が申請を行った直後から、日本政府は「ユネスコの場を政治的に利用している」として取り下げを求めていた。


 この問題の対策を検討していた自民党の「国際情報検討委員会」委員長である原田義昭・元文部科学副大臣は、今月2日の会議後、「南京大虐殺や慰安婦の存在自体を、我が国はいまや否定しようとしている時にもかかわらず、(中国が)申請しようとするのは承服できない」と宣言している。


 そして今回、南京大虐殺の登録が発表されると、外務省が以下のような報道官談話を出し、中国とユネスコを批判したのだ。


「南京事件は、日中間で見解の相違があるにもかかわらず、中国の一方的な主張に基づき申請されたものであり、完全性や真正性に問題があることは明らかだ。これが記憶遺産として登録されたことは、中立・公平であるべき国際機関として問題であり、極めて遺憾だ。ユネスコの事業が政治利用されることがないよう、制度改革を求めていく」


 しかも産経新聞の報道によれば、日本政府筋は「断固たる措置を取る」として、ユネスコの分担金拠出などの一時凍結すら検討する構えを見せているという。


 いったい日本政府は何をトチ狂っているのだろうか。外務省や菅義偉官房長官、原田委員長は、まるで南京大虐殺といった事実はないのに中国とユネスコが捏造して遺産登録をしたかのような主張をしているが、そもそも、1937年の南京陥落前後に日本軍が中国人捕虜や民間人を虐殺したことは、日本政府も認めている客観的事実である。


 当時の虐殺行為は中国側の被害者たちだけでなく、旧日本兵たちが数千人規模の中国人捕虜を集めて機関銃で殺害したことなどを証言している。


 また、第一次安倍政権時の2006年、安倍首相の訪中に際して実施合意にいたった日中歴史共同研究でも、日本側が論文に〈日本軍による捕虜、敗残兵、便衣兵、及び一部の市民に対して集団的、個別的な虐殺事件が発生し、強姦、略奪や放火も頻発した〉と記している。


 虐殺の人数は、中国側が主張する30万人(これは1947 年の南京戦犯裁判軍事法廷に依拠した数字である)、日本側は〈研究では20 万人を上限として、4 万人、2万人など様々な推計がなされている〉と、食い違いがあったが、しかし、これは逆に言うと、日本側が最低でも2万人の虐殺は認めているということだ。


 しかも、これらの研究を行ったメンバーは、決して「サヨク学者集団」ではない。70年談話の有識者会議でも座長代理を務めるなど、自民党的親米保守の代表的存在である北岡伸一・国際大学長なども名を連ねていた。


南京事件にかんしては、一部の狂信的学者やネトウヨが「南京大虐殺はなかった」「虐殺人数はほぼ皆無である」と叫んでいるが、この“虐殺なかった”論はいまや、保守系学者の間でもほとんど相手にされていないトンデモ説なのだ。


 ところが、日本政府は今回、そんなトンデモ説を国際社会に向かって声高に叫び、南京大虐殺の遺産登録を阻止しようとしている。


 しかも、その理由は支離滅裂なものだ。たとえば、日本政府は、中国側の申請資料の中に虚偽の資料が含まれているはずだとして、遺産登録はおかしいと主張する。現段階では未確認だが、たしかに、一部に含まれている可能性はあるだろう。しかし、だとしても、その場合は、該当資料の削除を要求すればいいだけの話。虐殺の事実はあるわけだから「登録自体を取り消せ!」と迫る理由にはまったくならない。


 また、中国が世界記憶遺産を「政治利用」しようとしているというが、これもイチャモンとしか思えない。今回の中国の動きに政治的意図があるのは明らかだが、それは日本政府も同じだからだ。


 たとえば今回、日本は第2次大戦後のシベリア抑留の資料を申請し世界記憶遺産に登録された。シベリア抑留では、敗戦後に投降した日本軍の捕虜らが、ソ連によってシベリアなどへ移送され、長きにわたる強制労働などに従事させられたあげく、多くの抑留者が死亡している。もし、「南京大虐殺」の登録を今後の日中外交でのカードとしての「政治利用」だとするなら、シベリア抑留も日露間のそれに当たることになる。もしロシア側が「政治利用だ」「事実誤認がある」と世界記憶遺産登録を取り消せと主張してきたら、日本政府は応じるのだろうか。そんなことはありえないだろう。


 それにしても、こんなイチャモン、詭弁を弄してまでしゃにむに南京大虐殺の遺産登録を阻止しようとするのはいったいなぜなのか。背後には、もちろん、安倍首相の歴史修正への妄執がある。


 1997年、慰安婦問題や南京大虐殺の記述を教科書から削除することを目的に「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」が結成されたが、その初代事務局長に就任したのが安倍晋三だった。


 以来、安倍首相は20年前から、従軍慰安婦、そして南京大虐殺という歴史的事実を葬り去ろうと、さまざまな動きを繰り返してきた。


 第二次安倍政権が誕生した後は、国際社会との関係に配慮して、自ら南京大虐殺や慰安婦を否定する発言は少なくなったが、代わりに安倍チルドレンたちにその役割を課してきた。2013年4月、「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」と自民党文部科学部会の合同会議が行われ、歴史教科書についての意見が交わされたが、会議では「南京事件は捏造と書かせるべきだ」といった意見が堂々と語られた(朝日新聞14年3月2日付)。


 そして、昨年末、中国が南京大虐殺の遺産登録申請をしていることを知るや、安倍首相は、その阻止を周囲に命じてきた。


 その急先鋒となったのが、前述の「我が国は南京大虐殺の存在自体を否定しようとしているのに、遺産登録なんて承服できない」と語った自民党「国際情報検討委員会」委員長の原田義昭だ。


 原田も典型的な安倍チルドレンで、前述の「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」のメンバーでもある。原田は昨年の朝日慰安婦報道問題の際にも〈いわゆる慰安婦の「強制連行」の事実は否定され、性的虐待も否定されたので、世界各地で建設が続く慰安婦像の根拠も全く失われた〉などという決議を出している。


 原田がはからずも吐露したように、安倍政権の本音はとにかく、南京大虐殺の存在自体を否定したい、なかったことにしてしまいたいのだ。だから、枝葉末節の間違いや虚偽をあげつらうことで、全体を否定し、なんとしてでも遺産登録を阻止しようとする――。そう、慰安婦問題の時にやったのとまったく同じやり口である。


 しかし、こんなやり口は、「正論」や「WiLL」に集うお仲間やネトウヨには通用しても、国際社会で通用するはずはない。このまま、遺産登録そのものを攻撃し続ければ、日本は歴史修正主義国家の烙印を押され、国際社会から相手にされなくなるだろう。


 そして、本当にユネスコの分担金拠出の一時凍結などという手段に出たなら、世界中から危険視される存在になりかねない。


 だが、恐ろしいことに、安倍首相自身は自分たちがいかに、国際的に恥ずかしい行為をしているか、そして現実的な外交政策としても悪手を打っているか、まったく自覚がない。


 こんな国際感覚の欠如した人物に政治を任せていたら、日本はそのうちほんとうに後戻りできないところまでいってしまうだろう。





 





 国連教育科学文化機関(ユネスコ)は十日、旧日本軍による「南京事件」の資料を、世界記憶遺産に登録したと発表した。中国が申請していた。日本が申請した第二次大戦後のシベリア抑留資料と国宝「東寺百合文書(とうじひゃくごうもんじょ)」も登録された。シベリア抑留資料は日本人捕虜の日記やはがきなど舞鶴引揚記念館(京都府舞鶴市)所蔵の五百七十点。東寺百合文書は、東寺(京都市)に伝えられた奈良時代から江戸時代の約二万五千通に及ぶ古文書。日本の記憶遺産は五件となった。




 南京事件の登録をめぐっては、日本政府は十日、北京の日本大使館を通じて「ユネスコの場をいたずらに政治利用すべきでない」と中国外務省に抗議した。中国が「旧日本軍の犯罪」の記録と主張する歴史資料がユネスコによって「世界的に重要」と認定されたことになり、習近平指導部は今後、歴史問題をめぐる対日攻勢を一層強めそうだ。




 従軍慰安婦問題の資料は登録が見送られた。



◆「負の歴史」宣伝懸念



 政府は十日、南京事件に関する文書の世界記憶遺産への登録を強く非難し、記憶遺産事業の制度見直しを要求する川村泰久外務報道官の談話を発表した。日本として認めていない「犠牲者数三十万人以上」という中国の主張が既成事実となり「『負の歴史』の宣伝に利用されかねない」(政府高官)と懸念。「政治利用」されないよう賛同国を募り、ユネスコの改革を求めていく考えだ。




 中国に対しても、日本の主張の「正当性」を訴え、自重を求めていく。




 川村氏は談話で「中立・公平であるべき国際機関として問題で、極めて遺憾だ。政治利用されることがないよう、責任あるユネスコ加盟国として制度改革を求めていく」と表明。南京事件の犠牲者数は「諸説あり、認定は困難」という政府見解を踏まえ、「中国の一方的な主張に基づき申請されたものであり、文書は完全性や真正性に問題がある」と強調した。




 政府は昨年六月以降、中国側に下村博文文部科学相(当時)らが取り下げを要求。ユネスコには(1)政治利用に協力するのはおかしい(2)史実と違う資料を登録すべきではない−と働き掛けてきた。




 ただ、記憶遺産の審査基準は資料保全の必要性だけが検討対象で、歴史的に正しいかどうかは判断材料にならない。国際条約に基づいた世界文化遺産とは異なり、ユネスコの一事業のため、加盟各国は認定の是非に関与もできない。


 


 


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