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新生!毎日、泣いて笑って喜んで哀しんでる、かなりラテンの血の濃い、そんな宮武嶺のエブリワンブログです!

「南京大虐殺」の存在は、最高裁が家永教科書裁判の判決ですでに認定している。

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 南京大虐殺・七三一部隊 (家永・教科書裁判 第三次訴訟 地裁編)
教科書検定訴訟を支援する全国連絡会 (編集)
ロング出版

 


 


 家永教科書裁判とは、日本史の教科書の執筆者である家永三郎東京教育大学教授が、自己の執筆した「高校日本史」教科書(三省堂)に対する1962年の教科書検定で


「戦争を暗く表現しすぎている」


等の理由により不合格とされ、その後条件付きで検定に合格するも、多数の改善・修正意見がついて、さまざまに訂正させられたことについて、国あるいは文部大臣を相手取って1965年に起こした憲法訴訟です。


 この訴訟は1997年の第三次最高裁判決32年間も続いたので、世界で最も長く闘われた民事訴訟としてギネスブックに載っているほどの、日本でもっとも有名な憲法訴訟の一つです。


 この裁判で家永氏は、教科書検定が憲法で禁じられる検閲に当たると主張しました。


 また、そもそも、子どもたちに対する教育権は国民にあるのか、国家にあるのかということについても大論争になりました。



 


 その第二次訴訟では、1970年に第一審で杉本判決と言う有名な判決が出て、教科書検定は検閲であるから違憲である、また、教育権は国民にあるという判断が出たのですが、結局、第一次から第三次訴訟まで最高裁では、教科書検定は合憲であるとされました。


 ただし、個別の検定については、文部大臣の検定処分には「看過しがたい重大な誤り」があり、裁量権の逸脱・濫用があるとして、国家賠償が命じられました。


 具体的に言うと、家永氏の教科書に対する検定意見のうち、南京大虐殺、同事件での婦女暴行、731部隊、草莽隊に関する検定が違法とされました。


 最高裁が、検定意見に対して国家賠償を認める基準は極めて厳しく、単なる過誤ではだめで、検定意見に「看過しがたい重大な誤り」がないとダメだというものなので、南京事件などについては、検定委員が物凄い屁理屈と言うか、難癖をつけたということになります。



 


 さて、では、家永教科書裁判の南京虐殺事件の部分についてみると、文部省当局は、南京事件は「日本軍の組織的行為であった」と読み取れる記述などを書換えよ、としました。


 ちなみに、日本で南京大虐殺が一般の人の話題になりだしたのは、この家永教科書裁判からでした。


 そして、この裁判の中で、家永訴訟を支援する中国近現代史研究者によって日中戦争と南京事件の実相がつぎつぎ明らかにされました。


 逆に、この動きに触発されていわゆる「南京事件の嘘」論が登場し、日本軍の虐殺事件をみとめる議論を「自虐史観」呼ばわりすることが歴史修正主義者たちによって一般的になりました。


 ともかく、文部省による南京虐殺事件の記述への訂正要求を違法とする最高裁判決が1997年8月に出てから、日本政府も南京虐殺事件の存在自体は認めるようになり、他の教科書にもひとまず南京事件が記載されるようになりました。


 しかし、現実には南京虐殺はなかったと言いたがる風潮は根強く残っているわけです。
















検定に違法あり!―家永教科書裁判最高裁判決 (教科書裁判ブックレット)
 
教科書検定訴訟を支援する全国連絡会

 


 


 では、具体的に見てみましょう。


 家永教授の「新日本史」は、南京事件について


「南京占領直後、日本軍は多数の中国軍民を殺害した。南京大虐殺とよばれる。」


と書きました。


 たったこれだけなのですが、文部省の検定委員はこれに激しく反応しました。


 検定委員はこの部分について


「原稿記述からは、南京占領直後、軍の命令により、日本軍が組織的に中国の民間人や軍人を殺害したかのように読み取れるが、南京事件に関する研究状況からして、そのように断定することはできない。 」


という検定意見を付け、再三にわたって、


「混乱の中で」


「混乱に巻き込まれて」


と書き加えるように求めたため、家永教授はやむなく


「激昂裏に」


の記述を付け加え、やっと検定をパスしました。


 日本軍の兵士たちが上から命令されて殺害したというより、激昂してやってしまったという記載にさせたわけです。


 ここで注意すべきは日本軍の兵士が


「多数の中国軍民を殺害した」


という事件があったことと、それが、


「南京大虐殺と呼ばれる」


こと自体は、さすがに検定委員も否定せず、問題にされていないことです。
















 検定不合格日本史
家永三郎 (著)
三一書房

 


 


 では、少し長いですが、これに対する東京高裁の判断(最高裁もこの部分については、そのまま判断を維持)を見てみましょう。


「行為の主体については、学界においては、 大虐殺の原因、態様については多様な説があって、 全容が把握されていたとは認められず、虐殺のすべてあるいは大部分が軍の上部機関からの指揮命令 によって行われたといい得る状況にはなかったと認められるから、原稿記述によって、虐殺のすべてあるいは大部分が軍の上部機関からの指揮、命令によって、行われたと読み取られる危険性が多少でもあるとすればこれを修正するよう求めることには合理的な理由があるというべきである。


 理由告知において教科書調査官は、右修正の方法 として、繰り返し「混乱の中で」「混乱に巻き込まれて」を書き加えるように求め、これに応じて「激昂裏に」の記述が付け加えられたのであるが、これによると、虐殺が軍の上部機関からの指揮、命令によって行われたと読み取られる危険性は希薄になった ということができるが、その結果、単に「殺害した」 という客観的事実のみを記載した原稿記述が、虐殺が「激昂裏に」行われたという記述に変えられた。


 しかし、当時の学界の状況は虐殺の原因、態様について多様な説があって、南京大虐殺と呼ばれる虐殺行為のすべてあるいは大部分を、「激昂裏に行われた」と説明し得る状況にあったとは到底認められないのであり、修正意見は、未だ通説、定説とは認 められない見解をもって記述することを求め、検定基準が排除している


「一面的な見解だけを十分な配慮なく取り上げていたり、未確定な時事的事象について断定的に記述する」


誤りをみずから招来させたもので、看過し難い誤りがあるというべきである。」


 イメージ 3


私の従軍中国戦線―村瀬守保写真集 一兵士が写した戦場の記録 日本機関紙出版センターより


 


 


 つまり、南京大虐殺が


「虐殺のすべてあるいは大部分が軍の上部機関からの指揮、命令によって、行われた」


と読み取られないようにするのはいいけれども、単に日本人兵士が激昂したために虐殺行為をしてしまったというような、


「南京大虐殺と呼ばれる虐殺行為のすべてあるいは大部分を、「激昂裏に行われた」と説明し得る状況にあったとは到底認められない」


ので、虐殺が激昂裏に行なわれたと書かせた検定意見には、見過せない重大な誤りがあるということです。


 最高裁に言わせれば、虐殺のすべてあるいは大部分が軍の上部からの指揮命令とするまでの証拠もないが、かといって、兵士が激昂して大部分をやったと記述させるのは、看過しがたい重大な誤りだというわけです。


イメージ 1


同上


 


 さらに、最高裁(高裁判断を維持)は、南京事件の虐殺部分だけではなく、日本軍による強姦についての検定意見も違法だとして、国家賠償を命じていることが注目されます。


 家永教授の教科書には


「日本軍は南京占領のさい、多数の中国軍民を殺害し、日本軍将兵のなかには中国婦人をはずかしめたりするものが少なくなかった。南京大虐殺とよばれる。」


という記載がありました。


 これに対して検定委員は、


「中国婦人をはずかしめたりするものが少なくなかった」という記述については、このような事実があったことは認められるけれども、このような出来事は人類の歴史上、このような出来事は人類の歴史上、どの時代のどの戦場にも起こったことであり、特に日本軍の場合だけ取り上げるのあり、特に日本軍の場合だけ取り上げるのは選択と扱いの上で問題があり、削除を適切とする。」


という意見を付けました。


 軍隊が相手国の女性を強姦することはよくあることだから、日本軍のことだけことさらに書くのは問題だ、削除しろってわけです!


 イメージ 2


 同上


 


 これに対しては、裁判所は、さすがに厳しく叱っています。


「近代における戦争と古来からの戦争を同一に考えることに合理性があるとは考えられないし、行為の態様、与えた被害の内容等を考慮しないで一律に世界共通の現象として論ずることにも合理性があるとは到底考えられない。  


学界の状況に基づいて判断すると、南京占領の際の中国人の女性に対する貞操侵害行為は、行為の性質上その実数の把握が困難であるものの、特に非難すべき程多数で、残虐な行為として指摘され、中国 軍民に対する大量虐殺行為とともに 南京大虐殺と呼ばれて、南京占領の際に生じた特徴的事象とされているのが支配的見解であると認められる。


修正意見は、記述に関する学説状況の認識を誤っ たか、検定基準の解釈適用を誤ったもので、その判断過程に看過し難い誤りがあるというべきである。」


 南京虐殺はなかった、と主張する方々には、よく肝に銘じてほしいものです。


 日本の最高裁判所はこう言っていますよ。


「南京占領の際の中国人の女性に対する貞操侵害行為は、行為の性質上その実数の把握が困難であるものの、特に非難すべき程多数で、残虐な行為として指摘され、中国軍民に対する大量虐殺行為とともに 南京大虐殺と呼ばれて、南京占領の際に生じた特徴的事象とされているのが支配的見解であると認められる。



 


 


 虐殺。


 強姦。


 日本軍がやったことも本当に恥ずかしいですが、これをなかったことにしようとすることが、どれだけ恥ずかしいことか。


 あなたたちには、看過しがたい誤りがある。



家永先生(左から二番目)の左隣は、家永教科書裁判弁護団長の森川金寿弁護士。


このブログではおなじみの森川文人弁護士のお父さんです。


森川弁護士は、この第三次訴訟に合格が間に合い(笑)、この判決を出した最高裁の上告審で草莽隊部分を担当しました。


「絶対負けられないところだから」と緊張してましたっけ。見事違法判断を勝ち取りましたね。


 


 


参考資料 


最高裁 判例検索より


家永教科書裁判 第三次訴訟 最高裁判決全文


文部科学省HPより 


教科書制度の概要 教科書検定訴訟(家永訴訟)について


 















家永三郎生誕一〇〇年: 憲法・歴史学・教科書裁判
家永三郎生誕一〇〇年記念実行委員会 (編集)
日本評論社















家永三郎の残したもの引き継ぐもの
大田 堯 (編集), 永原 慶二 (編集), 尾山 宏 (編集)
日本評論社

家永三郎の業績・活動は教科書裁判にとどまらず、歴史学、憲法学、教育学など多方面にわたる。彼の播いた種がきわめて広範囲にかつ多面的に開花し発展しつつある状況を確認し、今、彼から引き継ぐべきものを提起する。


 


 


家永教科書裁判では何度も南京虐殺が認定されていますが、最後の第三次訴訟最高裁判決が出たのでさえ1997年ですから、もう18年も前です。


歴史修正主義者たちは、すでに最高裁で認定済みの南京虐殺が、なかった、などという不毛な議論をいつまでするつもりなんでしょうか。


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日中戦争において、日本は当時の中国の首都、南京を激戦のすえ攻略した。このときに発生した、いわゆる「南京大虐殺」は重大な戦争犯罪として、いまも論議の的になっている。著者は、攻略戦の発端から説きおこし、外国人記録を含めた史料群を博捜し分析して、その全体像を描き出していく。現代史の焦点を衝く待望の歴史叙述。


 















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法学館憲法研究所HPより


家永教科書裁判









H.T.記


 家永教科書裁判は、高等学校日本史教科書『新日本史』(三省堂)の執筆者である家永三郎氏(旧東京教育大学教授・思想史研究)が教科用図書検定(教科書検定)に関して国を相手に起こした一連の裁判です。74年は二つ目の地裁判決が出た年です。


 『新日本史』は53年以降、検定済教科書として広く使用されていました。しかし、戦後の「逆コース」の動きの中で、教科書に対する検定・採択をめぐる統制は、1955年ごろから厳しくなりました。


 58年の拘束性学習指導要領と教科書調査官による検定は、教育内容に浸透してきました。『新日本史』は60年改訂の学習指導要領に基づき、改訂して検定を受けましたが、それまで合格していたにもかかわらず指摘された事柄は、主としてアジア・太平洋戦争に関するものでした。


 例えば、「この教科書は『本土空襲』『原子爆弾と焼け野原になった広島』『戦争の惨禍(白衣の傷痍軍人の写真)』のような暗い挿絵が多すぎ、教科書には不適である。もっと戦争の明るい面を出さなければならない」「『無謀な戦争』という評価は一方的である」などの意見が付されました。これに対して家永氏は、検定を違憲・違法として国家賠償法による損害賠償請求(第一次訴訟)と不合格処分取消の行政訴訟(第二次訴訟)を起こしました。


 その後、80年・83年両年度の検定で、南京大虐殺、婦女暴行、731部隊、沖縄戦などの記述及び日清戦争の朝鮮人の反日抵抗、戊辰戦争の時の草莽隊などへの検定処分に対して違憲・違法を訴えました(第三次訴訟)。65年から始まり97年まで及ぶ32年間の訴訟は、「最も長い民事・行政訴訟」としてギネスブックに認定されました。


 家永氏は、訴訟を起こした心境を次のように述べています。


「教科書検定は憲法違反であるという前例にない訴訟を提起しようと考えついたのは、まったく私一人の発意であって、‥‥むしろ成功の見込みがないからやめたほうがいいという消極的意見さえあった。‥‥憲法の基本理念をあくまで守り抜き、これを破壊しあるいは空洞化しようという試みに対して、‥‥できる限り努力することが、特に私のようにあの悲惨な戦争に生き残った世代の人間に課せられた責務ではないかと考える」(「一歴史学者の歩み 新版」(三省堂))。


 裁判では主として、検定は憲法21条2項の「検閲」に当たり許されないのではないかが争われました。最初に出された1970年の第二次訴訟の東京地裁判決(裁判長杉本良吉)では、「審査が思想内容に及ぶものでない限り、検閲に該当しない。しかし、本件不合格処分は執筆者の思想(学問の成果)内容を事前に審査するもので、検閲に当たる」として取消を命じました。


 検定制度を定める法律自体を違憲(法令違憲)としないで、法律がこの事件に適用される限りで違憲とするより穏やかな違憲判決の手法です。行政処分を違憲とすることのほとんどない裁判所にとっては果敢な判決として評価されました。この訴訟は、結局最高裁では、学習指導要領が変わったので訴えの利益を欠くとして却下で終わりました。


 次に出たのが、第一次訴訟に関する74年の東京地裁判決です(裁判長の名前をとり「高津判決」と呼ばれます)。この判決では検定意見の一部に裁量権濫用の違法があるとして請求を一部認めました。しかし、控訴審は検定処分のすべてを合法としました。最高裁も控訴審判決を全面的に維持して上告を棄却しました。


 この中で、「検閲」とは、「行政権が主体となって、思想内容等の表現物を対象とし、その全部又は一部の発表の禁止を目的とし、対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に、発表前にその内容を審査した上、不適当と認めるものの発表を禁止することを特質として備えるもの」と極めて狭くとらえました。


 そして、本件検定は、一般図書としての発行を何ら妨げるものではない等の理由で「検閲」ではないとしました。しかし、この定義については、禁止される検閲の範囲をあまりにも狭く限定し過ぎると批判されています。また、検定不合格の教科書は市販できると言うのも事実を無視した認定だと評されています。


 最後の第三次訴訟では、検定自体は合憲としましたが、上級審に行くに従って検定を違法とする範囲を広げました。最高裁では、南京大虐殺、婦女暴行、731部隊、草莽隊に関する検定が違法とされました。この間の世論の強い関心・監視が背景にあると言えるでしょう。その他の沖縄戦の記述などに関する判断は適法とされ、議論を呼びました。


 家永氏の裁判については次のような評があります。


「10件の判決を全体的に評価するならば、わが国の裁判所は、政府・文部省当局の検定行政に対して積極的に違憲審査権を行使することに臆病であり、わずかに個々の検定処分の行き過ぎをたしなめる程度の判決でお茶を濁してきたというほかないように思われる」(新井章・「語り継ぐ家永教科書裁判」所収)。


 しかし、一学者が生涯をかけて挑んだ裁判は、国民の間に教科書問題への関心を呼びさまし、憲法が保障している教育のあり方を問い、教育における国民の自由や表現の自由、学ぶ子供たちの学習権を深く考える大きなきっかけを作りました。また、裁判の過程で裁判所の文書提出命令等を通して文部省の部外秘の関係文書を法廷に公開させ、検定の手続や実態を明らかにしたことは、大変大きな功績となりました(大森典子・同上所収)。


 


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