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塩野七生氏インタビュー「安倍首相にやりたいだけ、10年はやらせろ」に欠ける近代立憲主義。

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 塩野七生さんという作家はご存知でしょうか。


 中世ローマなどに題材をとった作品でもう30年以上もベストセラー作家の地位にあり、このたび、御年78歳で最新作『ギリシア人の物語I 民主政のはじまり』(新潮社)を書き上げたということで、安倍首相をべた褒めする放言インタビューが日経に載っていました。























ギリシア人の物語I 民主政のはじまり
塩野七生著
新潮社

 あのローマ人の偉大なる先人たちを描く、鮮烈な新シリーズの幕開け! 古代ギリシアの民主政はいかにして生れたのか。そしていかに有効活用され、機能したのか。その背後には少ない兵力で強大なペルシア帝国と戦わねばならない、苛酷きわまる戦争があった――。累計2000万部突破のベストセラー『ローマ人の物語』の塩野七生が、それ以前の世界を描く驚異の三部作第一弾!


 

 


 


 いや、一見、安倍首相は説明が下手だとか、男として好みじゃないとかエクスキューズもあるんですよ。


 でも、イギリスのサッチャーもブレアも10年政権をとった、10年やらせてみないとわからない、それどころかやりたいたけやらせてみたらなどというのです。


 想像するだけで怖いわ。



 


 で、この方、民主政・民主制の原始型であるギリシャについての本を書きだしたばかりなのに、安倍首相を評価するこの長いインタビューの中に一回も民主主義という言葉が出てこないのです。


 これではローマ皇帝たちのことを描いていた時と全く変わりません。


 安全保障は統治者が決めることとか、パクス(平和)を達成するには抑止力が必要だという話ばかりで、質問する側の日経も、この人も一度も憲法という言葉を出さないのです。



 


 長い古代、中世を経て、やっと近代革命で立憲主義憲法ができた、憲法で国家権力の手を縛る立憲主義の原則を踏みにじったから、安倍首相の集団的自衛権の行使容認や安保法案が問題になったのに、立憲主義を問題にしない。


 民意が世論が反対していたのにそれを無視したから民主主義違反だと問題になったのに、それも言わない。


 まるで、塩野七生ワールドだけは数千年前の古代から、何一つ変わっていないかのようです。


 そもそも、ギリシャの民主政って奴隷制が前提でしょ。 


 曽野綾子氏以来の「老害」という言葉が頭に浮かびました。



産経新聞で日本への移民にアパルトヘイト(人種隔離)を主張した曽野綾子氏は悪あがきをやめて引退すべき


 


老人だから老害だっていうんじゃないですよ。


昔のことで今を語るから老害なんです。


作品は面白くて文章がうまいからご紹介しますが。


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ローマ人の物語 (1) ― ローマは一日にして成らず(上) (新潮文庫)
塩野七生著
新潮社

 ローマ人の物語ローマ誕生、王政から共和政へ。


前753年、一人の若者ロムルスと彼に従う3千人のラテン人によりローマは建国された。7代続く王政の下で国家としての形態をローマは整えてゆくが、前509年、共和政へ移行。その後、成文法制定のために先進国ギリシアへ視察団を派遣する。ローマ人は絶頂期のギリシアに何を見たのか—— 。比類なき大帝国を築きあげた古代ローマ。その一千年にわたる興亡の物語がいま幕を開ける。

















海の都の物語〈1〉―ヴェネツィア共和国の一千年 (新潮文庫)
塩野七生著
新潮社

ローマ帝国滅亡後、他国の侵略も絶えないイタリア半島にあって、一千年もの長きにわたり、自由と独立を守り続けたヴェネツィア共和国。外交と貿易、そして軍事力を巧みに駆使し、徹底して共同体の利益を追求した稀有なるリアリスト集団はいかにして誕生したのか。ヴェネツィア共和国の壮大な興亡史が今、幕を開ける。「ルネサンス著作集」中の大作、待望の文庫化、全六冊。


 


 


「安倍首相、やりたいだけやらせては」 
塩野七生氏が語る世界と日本(2)


(1/3ページ)
2015/12/21 6:31 日本経済新聞


 『ギリシア人の物語I 民主政のはじまり』(新潮社)を書き上げた作家、塩野七生さんへのインタビュー2回目は、日本の安全保障などについて聞いた。


 ――塩野作品には安全保障にかかわる記述がしばしば登場します。安全保障とは結局何でしょうか。日本で今年成立した安保法制をどうご覧になっていますか。


 



しおの・ななみ 1937年東京生まれ。学習院大学文学部哲学科卒。68年に執筆活動を始めた。82年に『海の都の物語』でサントリー学芸賞、83年に菊池寛賞を受賞した。92年から長編『ローマ人の物語』に着手。99年に司馬遼太郎賞に輝き、歴史研究と歴史小説の両分野にまたがる新たな分野を切り開いた。06年に第15巻でシリーズが完結した。このほど最新作『ギリシア人の物語I 民主政のはじまり』(新潮社)を書き上げた。イタリア在住。78歳

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しおの・ななみ 1937年東京生まれ。学習院大学文学部哲学科卒。68年に執筆活動を始めた。82年に『海の都の物語』でサントリー学芸賞、83年に菊池寛賞を受賞した。92年から長編『ローマ人の物語』に着手。99年に司馬遼太郎賞に輝き、歴史研究と歴史小説の両分野にまたがる新たな分野を切り開いた。06年に第15巻でシリーズが完結した。このほど最新作『ギリシア人の物語I 民主政のはじまり』(新潮社)を書き上げた。イタリア在住。78歳


 



 「デロス同盟(ペルシャ戦役後のギリシャ都市国家同盟)というのは、多国間で一緒になって安全保障をしましょうという目的でできたものです。一方、ペルシャ帝国にはそんな同盟は一切ない。その後のアレキサンダーもローマ帝国もそんなことは考えなかった。つまり『一緒になって力を合わせて安全保障をしましょう』という同盟の考え方は超大国からは生まれないのですね。日本も中小の国々のひとつだから、同盟による安全保障は当たり前な話であって、ヨーロッパでは安倍晋三首相の安保法制は全然問題になっていない。問題にならないどころか、『当然』という感じで受け止められています。中国だってほとんど何も言っていないんじゃないですか」


 「中国は『一緒になって安全保障しよう』なんて言わない。そういう中国に対抗するには、中小国が集まって、アメリカが後ろ盾になる安全保障を考えればいい。中国が脅威的存在にならなければ、これほどの必要性はなかった。かつてソ連があったときと似た構図です。つまり同盟は強大な敵があるからなのです。今の中国はまだ超大国ではないが、超大国になりたいと思っている国であることは確かです」


■安定、安全の実現は統治者の務め


 ――政権に返り咲いて約3年の安倍首相の政権運営をどう見ていますか。


 「前回(2013年秋)の日経インタビューで『2度も首相としてチャンスをもらい、それで何もしなかったら政治家でないだけではなく、男でもない』と言いました。そうしたら安倍さんは発奮されて『チクショー、絶対にやってやる』となったのではないですか。安倍さんに批判的な人は『塩野さん、なぜ安倍首相を応援するのですか。彼には健康上の理由があるし』と言う。でも、健康上の理由なんぞは奥さんとお母さんが心配すればいい話です。我々国民が心配することではない。むしろ安倍さんにはやりたいだけやらせたらいいと思っています」


 「それからギリシャの政治家、ペリクレスにしても、その統治は30年も続いた。安定ということは、すごく大きいです。人間というのは決してバカではありません。安定、安全であれば、何とか適度に自分たちでやれる。しかし、安全だけは統治者が実現しなければならない。だからルネサンスの時代のフィレンツェでも、メディチ家が僭主(せんしゅ)になって安定を築き、そこにルネサンス文明というか、フィレンツェ文明が花開いた。ベネチア共和国というのは経団連が統治したような国だと思いますが、その経団連が中小企業の保護をしたのです。だから社会が安定した。そのため商売はうまくいき、文化もうまくいった。安定は本当に大切です。だからパクス・ロマーナは大切だったのです。安定というよりは、パクスと言いましょう。平和です」



■政権、10年は続ける必要


 「私は、そんじょそこいらの平和主義者よりかはよほど平和主義者だと思っています。しかしパクスを実現するには、やはり抑止力とかの諸々の力が必要です。だから安倍さんの今の状態は良いと思う。ただし、あの人は説明のやり方が下手だった。安保法制についても説明が十分でなかったのではなくて、はっきり言うと、話し方が下手だったということです。アンチ安倍の人から『安倍晋三という男をあなたは好きですか』と聞かれたから、『まずもって私の好みの男じゃない』(笑)。だけどそんなことは関係ないことです。私は日本が良くなってほしいと心から思っています。今やりますと言っているのが彼なんだから、やってもらいましょうよ、とただそれだけ。もし彼がダメだったら次の人にやらせたらいい。だけど以前のように首相が1年1年で交代するのはいけない。絶対にいけない。あの状態では日本人は何もできなくなりますから」


 



塩野氏は「首相が1年1年で交代するのはいけない」と語る

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塩野氏は「首相が1年1年で交代するのはいけない」と語る


 



 「英国のサッチャー首相は10年続いた。ブレア首相だって10年続いた。つまり10年は必要だと思う。10年続けばおそらく日本人でも何かやりますよ。今のイタリアで中道左派政権のレンツィ首相がやろうとしていることもすごいですよ。まず上院を事実上なくしました。上院議員は選挙では選ばれないことになった。つまり、ねじれ現象が起きない。重要案件を決定する権利は、イタリアの上院にはない。だけど上院の建物は残しました。上院議員は誰がやるかというと、地方都市の市長などです。その人たちには上院議員としての給料は与えない。彼らはすでに市長の給料をもらっているのだからそれでいいだろうと。だから、レンツィ首相は事実上、議会を、一院制にしてしまったのです。これで、ねじれ現象が解消し、2番目には政策決定の時間の短縮につながった」


 「この間、日本人から聞かれたのだが、『レンツィ首相が来日した時に、安倍首相と意見がみな合致したが、なぜか』と。私は『当たり前じゃないの』と言いました。中道左派政権と中道右派政権なんていうものは、もうない。レンツィ首相がやろうとしているのは、(緊縮路線の)メルケル独首相の北ヨーロッパとは反対の道です。つまり成長路線に変えたい。安倍さんのアベノミクスもそれでしょう。安全保障の面では、イタリアは海外派兵を1万人くらいやっている。海外派兵を決めるときはイタリアでも国会が承認する必要があります。そのときには必ず野党まで一緒になって協議している。そうしないとヨーロッパの一国としてやっていけないから。安倍さんは中道右派のはずだし、レンツィは中道左派ですが、そんなことは関係ないのです。ただし、レンツィは40歳というところはあるかもしれない」


 「いま日本で河野太郎氏が担当している行政改革相は、イタリアでは女の子が務めています。安倍さんは、『レンツィ首相は閣僚の半分が女で、よくやれますね』と言ってますが、彼女たちはそれがみな奇麗で、しかも若さがある。重要なところは平然と『女よ』と言えるところ。なぜやれるのかといったら、ベテラン男性を副大臣にしているからです。イタリアの男は美人の若い女を前にするとなんでも喜んでやっちゃいますから。というわけで今、レンツィ首相の話自体が面白いというところもありますが、イタリアで政治番組を見るのが面白くなっています。今や彼が出ると必ず視聴率が上がるらしい」



 ――小泉純一郎首相もテレビに出ると視聴率が取れたらしいです。


 「でも、小泉さんはいつも起承転結の起しか言わない人だった。安倍さんは長々と話していると、聞いているほうもわからなくなるけど自分もわからなくなるところがある。それから、外交交渉では主導権は絶対にこちらが持たなくてはいけないが、この大事なことを安倍さんは忘れたりする。でもヨーロッパでは安倍さんはなかなか評判がいいですよ。それからもうひとつ、これは指導者の条件ですが、安倍晋三という男は決して貧相ではない。これはやはり大切な点です。言うことはなんだかわからないところがあるけど、かわいいところがある。一生懸命やろうとしているのは確かです。『男でない』と言われて発奮したんだから。政治のリーダーは美男である必要はないのです。でも明るい顔である必要はある。レンツィだって、トスカーナ風のかわいい顔をしていますよ」


■心躍らされる主張のない女性政治家


 ――安倍政権は女性活躍を看板政策としています。すぐに成果を上げるのは難しく、日本では初の女性首相もまだ見えてきません。


 「女の人は、男社会だと言って文句を言う。しかし抗議するのにもエネルギーがいる。人間にはだいたい一定のエネルギーしかないから、抗議するのにエネルギーを使ってしまうと、創造するエネルギーがなくなってしまう。これが日本の多くの有識の女たちのありさまです。だから次期首相だって女だからダメだっていう訳では全然ないのだけれど、心躍らされるようなはっきりした何か、こっちの注意を引くような主張を言わないといけない。しかし、いまの女性政治家にはそれを言う能力が感じられません。まあ安倍さんにもあまりありませんけれど(笑)」


 ――日本の野党リーダーは優等生タイプが多い気がします。


 「やっぱり辛気くさいのはダメです。だって世の中、全部辛気くさい話ばかりなのに、リーダーまでも辛気くさい顔をしていたらやる気が起きますか。野党の政治家もやはり自分が能力を発揮するチャンスを逃してはいけない。安倍さんはもう後はないのだから、変なことを考えないでやってもらえばよいわけです。私はそういうように見ています。でも日本でこんなことを書いたら、やはりお金を稼ぐにはちょっと具合悪いし、有識者とも呼ばれないし、というわけで、昔の西洋の話を書いているのが楽だという話です」


(聞き手は、伊奈久喜特別編集委員、坂本英二編集委員)


 


安倍首相の指導力への評価は 作家 塩野七生氏に聞く 
時論


(1/2ページ)
2013/12/1 3:30
日本経済新聞 電子版

 


 世界では経済政策や安全保障などを巡って先進国や新興国が激しくせめぎ合う場面が増えている。内政や外交の難しい課題に取り組むためには、国を率いる指導者の資質や手腕が重要な要素となる。作家の塩野七生さんに、日本がおかれている現状や内外の政治家への評価などを聞いた。


■「真のエース」へ正念場続く



塩野七生(しおの・ななみ)氏 11937年東京生まれ。学習院大学卒。イタリア滞在の経験を踏まえ、68年に執筆活動を始めた。長編『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』で70年度の毎日出版文化賞。『海の都の物語』でサントリー学芸賞、菊池寛賞を受けた。  92年から長編『ローマ人の物語』に着手し、1年に1作のペースで刊行。司馬遼太郎賞に輝き、歴史研究と歴史小説の中間に位置する新分野を切り開いた。2006年に15巻でシリーズが完結した。  その後『ローマ亡き後の地中海世界』『十字軍物語』を発表。このほど13世紀の神聖ローマ帝国の君主を描いた『皇帝フリードリッヒ二世の生涯』を書き上げた。76歳。

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塩野七生(しおの・ななみ)氏 11937年東京生まれ。学習院大学卒。イタリア滞在の経験を踏まえ、68年に執筆活動を始めた。長編『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』で70年度の毎日出版文化賞。『海の都の物語』でサントリー学芸賞、菊池寛賞を受けた。
 92年から長編『ローマ人の物語』に着手し、1年に1作のペースで刊行。司馬遼太郎賞に輝き、歴史研究と歴史小説の中間に位置する新分野を切り開いた。2006年に15巻でシリーズが完結した。
 その後『ローマ亡き後の地中海世界』『十字軍物語』を発表。このほど13世紀の神聖ローマ帝国の君主を描いた『皇帝フリードリッヒ二世の生涯』を書き上げた。76歳。



 


 ――イタリアに住んでいて日本はどう映りますか。


 「久しぶりに帰って来て感じたのは、日本がエースで勝つようになったということ。トヨタ自動車とか日立製作所とかがよくなってきた。安倍晋三首相はみんなと一緒に1度会っただけでよく知らないけどやはりエース。エースで勝つと一番いいし、座りがいい」


 ――安倍首相はエースと言えますか。


 「エースとはどういうものか。プロ野球、楽天の田中将大投手は(日本シリーズ最終戦の)前日にやられてしまった。チクショーと思ったに違いない。もし(再登板を)志願しなかったらエースはちょっと傷ついていた。それで最後に三振で打ち取る。この気合だ」


 「安倍さんがこれからそうなるかどうかは彼次第。エースを中心にして前進するのが、確実な『ジャパン・イズ・バック』。安倍さんはまだ三振で打ち取っていない。だから『帰ってきたエース』になってくださいと言いたい」


 ――経済政策「アベノミクス」の評価は。


 「ようやく日本が動き出した。イタリアの朝のテレビで日本のニュースというと福島の原発事故で(放射性物質が)漏れたとかそれくらいで、各国の株式市場が映っても香港とか上海が中心で日本はなかった。このごろ、ニッケイ(日経平均株価)が出てきた」


 ――日本が大きく右傾化したとか、一部には正確でない情報もあります。


 「ジャーナリストは基本的に左派だ。(海外メディアは)日本のことを本当に知って報道するのではなく、中国とか韓国の新聞を読みながら日本を見る。失礼ながら日本のメディアの発信力が全くない。有名な国際メディアだから必ずしも正しい報道をするとは限らない、と外国に住んでいて身にしみて感じている。社名では絶対に読まない」


 ――異質な価値観をもった近隣の国と付き合っていくうえで、歴史に学ぶべきところはありますか。


 「近隣国と仲良くあるべきだというのは日本人だけだ。近隣とは常に問題があり、摩擦が起きないという方がおかしい。日本人はこれからも絶対の友好はないのだと思えばいい。しかし近隣国ゆえの突破口はある。それは経済関係がより密であるということだ」


 「『十字軍物語』の最後で十字軍の運動は西洋側、キリスト教側が負けた。しかし本当の勝者は誰か。イスラムの経済人たちは200年間で西洋の市場の有効性に目覚めた。経済的にくっついてやっていた方が得であったと。そしてベネチアとかジェノバとかの経済人が戻ってくる。決裂した関係が戻ってくる」


 「(中韓両国とは)政治的な関係改善を急がない方がいいと思う。イスラムとキリスト教の価値観の違いは、中国や日本に比べるとものすごく大きかったはずだ。それでもなお(関係修復が)できた」


 ――政界を引退した小泉純一郎元首相が最近、脱原発で積極的に発言しています。


 「小泉さんはお辞めになった後に会ったことがある。どうして辞めたのか聞いたら『僕は疲れちゃった』と。もう時効だから言ってもいいと思うが、『首相の当時は時々、夜にがばっと起きるときがあった。今はそういうことがなくなって熟睡しているよ』と言っていらした」


 「私の無責任な見方から言えば、小泉さんは熟睡に飽きちゃったのだと思う。彼はこの間まで『イタリアでオペラを見たことがない』と言っていたから、いらしたらお連れする。熟睡するのに飽きちゃったようだから(笑)。もう一つ言いたい。粋な男は焼けぼっくいに火をつけないこと。やめると言ったらやめる」


 「(原発は)大変な問題だから科学者に徹底的に話させるべきだ。日本への不満は、我々は福島で絶対的な安全はないと学んだはずだ。それなのに原発再開にまた絶対安全を求めるのは論理的におかしい。ただ科学者に決める権利はない。意見を聞いてお勉強して、最後は投票で委託された政治家が決めるべきだ」



■改革者は必ずぶつかる


 


 ――新作『皇帝フリードリッヒ二世の生涯』で訴えたかったものは何ですか。


 「書いている時は、日本の役に立つとか、リーダー像なんかは考えない。中世にこういう男がいたということを知ってもらいたい。ヨーロッパの中世研究の傾向は、キリスト教会とケンカしない人がいいとなる。彼はその反対だ」


 ――歴史に名を残すリーダーはケンカしないといけないということですか。


 「改革をすれば必ずぶつかる。ぶつからない人はその時はいいかもしれないが、後世には何の影響もない。良い人の生涯を書くと時代が描けない。あちこちで周囲とぶつかる人を書くと、何で、誰とぶつかったのかで、その時代が描ける。どうしていま書くかは実に私の問題だ。ずっとルネサンスを書いて、古代ローマを書いて、その間に1000年あいている。それを埋める最後の作品。これで中世は終わりだ」


 ――当時のイスラム圏は西洋より科学技術的、文明的に進んだ面があったと。


 「実際にそうだ。イスラム圏の学者たちが『十字軍の後に西洋はルネサンスに入っていった。なのに自分たちはなぜ停滞したのか』という問題を提起している。イスラム世界は工業よりも商業。しかし商業はなかなか職をうまない。職を与える社会、政治が成功するのであって職を与えるのに失敗したら成功しない」


 「今のイスラム世界も同じ。原材料を輸出している。オイルもガスも技術者を呼んで、動かすのはその国の高学歴者じゃなくてもいい。職を保証する社会づくりを忘れたのがジャスミン革命の始まりで、宗教的でも何でもない。9.11の米同時テロを指揮したのは、みんな高学歴者だった」


 ――フリードリッヒ二世は反逆児ゆえに、イスラムとの和解を成し遂げたように思います。


 「彼は要するに自分の頭で『これっていいわけ?』と疑問を持つ。人間の発展はシンプルで疑問を持つことだ。疑問を持たない人はいかに大学の成績が良くても、それはただ学校の成績がいいということだけ」


 ――今の世界のリーダーでフリードリッヒ二世と似ている人はいますか。


 「アイルランド問題を解決したトニー・ブレア元英首相。パレスチナ問題も託されたが、あれは気の毒だった。(フリードリッヒ二世は)丸腰で交渉に臨んだのではない。いざとなったら軍事力で交渉したから成功した。ブレアはパレスチナ問題を託された時にいかなる経済的、軍事的、政治的権力もなかった」


 「私はリーダーを見るときに自分がよしとする型にはめない。絶対オーダーメードだと思っている。安倍さんはブレアのように敵をも味方にする説得力はない。なくても、ブレアが持っていなかったものを持っている。それは現在、(先進国の議会で)民主的に絶対多数を持っているということだ。オバマ米大統領やメルケル独首相を見ても、イタリアなどを見ても他の国に1人もいない」


 「安倍さんは民主的に権力を持っている。2度も(政権を率いる)チャンスをもらい、民主的な方法で絶対多数をもらった。そこでおじけ付いて何もしなかったら、政治家でないだけではない、男でもない」


 ――フリードリッヒ二世は女性関係もなかなか面白い。安倍首相には「家庭内野党」を自称する妻の昭恵さんがいます。


 「彼女のインタビューを見ていて、この人はなかなか頭のいい人だなと。そして安倍晋三さんにとっては、とても適した奥さんじゃないかなと思う。非常に率直な方であると同時に、旦那様のことを笑いながら話しているが、これが決して人格を低めることにつながっていない」


 「今までとは違うが、なかなかいい奥さんじゃないかと思う。あんまりベタベタとあちこちの外遊について来ないし。首脳が深刻なことを話すのに、奥さんがちょろちょろくっついてくるのは状況にふさわしくない。あの方は頭のいい、賢い女の子ではないか」


■「旦那タイプ」から期待込めエースに
 18日発売の「皇帝フリードリッヒ二世の生涯」は、ローマ法王から3度も破門された男の物語だ。十字軍に行き、イスラムとの和解もなした。チェーザレ・ボルジア、ユリウス・カエサルにほれ込んだ筆で、中世に生きながら中世的なキリスト教原理に反逆した男を描いた。歴史に現れるいい男たちを書き続けてきた作家の目に、現代の日本と世界はどう映るのか。7年ぶりに聞いてみた。刺激的な言葉が次々に飛び出した。
 なかでも面白かったのは小泉純一郎元首相への発言だ。「熟睡に飽きちゃった」には思わず膝を打つ。「粋な男は焼けぼっくいに火をつけない。やめると言ったらやめる」は男の美学だろう。「粋な男」の反応が聞きたい気がする。
 安倍晋三首相への見方は変わった。7年前は「旦那様にするにはいいタイプ」と突き放したが、今回は「『帰ってきたエース』になってください」と期待がこもる。ただし「何もしなかったら政治家でないだけでない、男でもない」とも。甘い評価ではない。(特別編集委員 伊奈久喜)


 


 


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