日韓両政府の合意について、韓国側では元慰安婦の支援団体などから反発の声が上がった。



 日韓外相会談が行われたソウルの韓国外交省で28日午後、「法的責任に背を向けた安倍政権糾弾」といったプラカードを掲げた市民団体のメンバーら約50人が「会談中止」を求めて集まった。


 元慰安婦の支援団体「韓国挺身(ていしん)隊問題対策協議会」(挺対協)は会談終了後、「屈辱的だ」と反発する声明を発表し、「慰安婦は日本政府が主導した犯罪であり、不法という点が明らかになっていない」と批判。安倍首相による直接の謝罪もなかったとして「真心がこもった謝罪と受け入れるのは難しい」とした。さらに真相究明や歴史教育などの「再発防止措置」の言及もないと指摘、韓国政府が受け入れたことは「衝撃だ」とした。


 一方、韓国のYTNテレビは「政府が年内に解決しようとしてくれたのだから、努力してくれた人たちのことを考えて、政府が決めたことに従いたい」という元慰安婦の女性のインタビューを放送した。


 一方、日韓関係の悪化をめぐっては、経済界から「政治と経済の分離」を主張する意見があった。韓国の経済団体・全国経済人連合会は「両国政府が慰安婦問題で和解の合意を得たことを歓迎する」という声明文を発表。「国交正常化50周年を迎える特別な年に問題解決の合意がなされたことで、両国が新たな希望の百年を進むことを期待する」とした。


 ログイン前の続き韓国の通信社、聯合ニュースは合意について「韓日首脳の勝負の一手 政治的負担でも決断」と題した記事を配信。今回の妥結は、「慰安婦問題での食い違いを放っておいてはいけないということで両国の合意が形成された結果」と指摘した上で「安倍政権も日本国内の保守的な右翼勢力から攻撃を受ける可能性がある」との見方を示した。


 朴槿恵(パククネ)大統領は国民向けの談話を発表。「日本の歴史的な過ち」について韓日関係の改善と大局的見地から臨んだとし、「今回の合意について、被害者の方々と国民の皆さんもまた理解をしてくださるよう願います」とした。


 韓国で長年、慰安婦問題を研究してきた大学教授の一人は「今回、韓国政府が被害者の意見をどれだけ反映して妥結したのか明らかではない。日本政府の要求を韓国政府が一括して受け入れたようにも感じる」と指摘。今後、元慰安婦一人ひとりへの説明が不可欠だとの見方を示した。(ソウル=武田肇)